抄録
要旨:重症下肢虚血に対して血行再建が必要であることは異論のないところである.しかし,下肢循環動態を理解しないまま行う安易な血行再建は,十分な効果が期待できず,術前よりも悪化させる危険性すら併せ持つ.故に血行再建を前提とした下肢血行動態の理解が必要である.本稿では,血行再建を行うのに必要最低限の基本事項である解剖(動脈,静脈,側副血行路),下腿動脈の支配領域を示し,切断時に考慮される関節部位を記載した.また,重症下肢虚血の発症機序を述べることで基本事項と疾患の関わりが理解できるように配慮したつもりである.本稿が重症下肢虚血の理解に役立つことを期待する.