抄録
要旨:糖尿病は種々の足病変の基礎疾患である.わが国ではとくに2 型糖尿病患者の急増とそれに伴う合併症が問題になっており,国を挙げて予防と治療の対策を行うべきである.2 型糖尿病の病態には膵β細胞からのインスリン分泌不全と末梢組織におけるインスリン抵抗性の両者が関与しており,インスリン作用不足のために高血糖状態が引き起こされる.2 型糖尿病治療の基本は適切な食事療法と運動療法である.これら生活習慣の是正にも関わらず高血糖が改善しない場合に薬物療法を行う.薬物療法は画一的ではなく,個々の患者の病態を考慮して,適応に合わせて薬物を選択する.適応であれば躊躇せずにインスリン療法も行うべきである.現在,経口血糖降下薬は6 つのカテゴリーに分けられるが,インクレチン関連薬であるDPP-4 阻害薬の有効性が実証されてきている.さらに数種の新しい作用機序の薬物が開発中であり,実臨床での活用が期待されている.