抄録
要旨:日本における下腿切断の原因は近年著しく変化し,糖尿病性足病変に起因した切断が増加している.糖尿病性足病変とは,糖尿病性神経障害,血管障害に感染が加わった複合性病変で,特に糖尿病を合併した重症下肢虚血は大切断の大きな原因となる.この糖尿病性足病変に対しては,神経障害による麻痺や足の変形,血管障害による虚血症状,骨髄炎による感染の拡大などさまざまな問題に対するアプローチが必要になってくる.病態も軽症から重症までさまざまで,単診療科だけではなく,多診療科・多職種にまたがった集学的治療が不可欠になってくる.さらに最適なチーム医療を構築する場合,重症度に応じてフットマネージメントを一次~三次医療に分類する方が有用である.また,患者が単一の医療機関へのみ集中するのではなく,複数の施設間での円滑な地域連携により,迅速で最適な医療が施行されるべきである.本稿では,糖尿病足病変を中心とした救肢のためのチーム医療の現状を総括し,今後の問題点について展望する.