管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌
Online ISSN : 2434-0529
Print ISSN : 0918-7863
論文
管理会計システムの導入がもたらす組織変革プロセスの研究―(株)飯田におけるABC導入の質的研究―
松尾 貴巳大浦 啓輔新井 康平
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2008 年 16 巻 2 号 p. 3-21

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抄録

本論文の目的は,ABCシステムの導入によって,組織構成員の解釈のあり方にどのような経時的な変化が生じたのかという組織変革プロセスを解明することにある.具体的には,1997年にABCに基づく利益管理システムを導入した株式会社飯田を分析対象とし,その導入プロセスにおける組織成員の行為や解釈をインタビュー調査によって明らかにしている.分析には,「解凍」・「変化」・「再凍結」という伝統的な組織変革モデル(レビンモデル)を再構成した新装レビンモデル(Isabella,1990)を採用し,ABCの導入プロセスを検証した点に本論文の意義がある.理論的あるいは技術的に優れていると考えられる管理会計システムの導入は必ずしも簡単に実施されるのではない。組織構成員が導入に際し,どのように戸惑い,苦悩し,拒否反応を示し,そして各自がそれをどのように受容していったのかというプロセス自体をありのままに記述するために,質的な研究方法を採用した点に本論文のもう一つの意義がある.

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© 2008 日本管理会計学会
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