管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌
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論文
内部資本市場の効率性から見たM&Aのパフォーマンス
山田 方敏蜂谷 豊彦
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2010 年 18 巻 1 号 p. 33-48

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抄録

これまで,M&Aが企業パフォーマンスに与える影響については,株式パフォーマンスを中心に検証が行われており,財務業績への影響については規模や業種など静的な視点からの分析しか行われていない.本稿は,主に多角化企業の評価に用いられてきた内部資本市場の効率性に焦点を当て,これまでブラックボックスであったM&Aが財務業績に与える影響を動的な視点から解明する.

M&Aの実施による内部資本市場の効率性と財務業績の変化を分析した結果,M&Aを行うことにより,内部資本市場の効率が低下するほど財務業績も低下することが明らかになった.また,M&Aによって多角化度合が増加するほど内部資本市場の効率が低下すること,M&Aを実施する前の内部資本市場の効率が高いほど実施後に効率が低下することがわかった.さらに,M&Aの実施により,事業の多角化度合が高まり,内部資本市場の効率は低下し,財務業績が悪化することもわかった.

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© 2010 日本管理会計学会
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