自由金利による調達の増加やBIS(国際決済銀行)による自己資本比率規制などの金融の自由化・国際化の影響は日本の銀行の経営環境を大きく変えようとしている.そのため,金利変動リスクなどの財務リスクは増大し,そのリスク管理がますます重要になってきている.本論文では銀行のリスク管理手法であるALM(資産負債管理)の考え方を用いた数理計画モデル(目標計画法によるモデル)を扱った枇々木・福川の目標計画モデルを多期間モデルへ拡張したALMモデルを提案する.多期間モデルは,従来のモデルがトレード・オフの関係にあるリスクと利益を関連させたリスク管理のモデル化である特徴に加えて,将来に渡って計画的に資産や負債をコントロールできるような情報を得ることができるのでリスクを管理する際の経営計画の作成に役立たせることができるという特徴を持っている.モデルを解く方法論としては,リスクと利益という多目標を取り扱うことができる目標計画法を用いる.そして,モデルの特徴や定式化を通してモデルの有用性を明らかにしていく.