2013 年 21 巻 1 号 p. 49-58
管理会計の学術的研究を進めていく上で統計的手法を用いた実証分析や数理モデルによる分析の有用性が認識される一方で,管理会計研究の対象が現実の会計実践であることを考慮すると実務を直接的に捉えようとする質的研究方法の有用性も否定されるわけではない.本稿では,管理会計研究における質的研究方法論を検討し,その意義を考察する.管理会計研究の実務への有用性という観点から,質的研究方法は有効であり,管理会計研究において(1)管理会計技法の発見,(2)新しい管理会計手法の開発,(3)管理会計技法の運用に関わる発見,(4)管理会計プロセスの記述・説明・分析への貢献が期待される.その一方で,質的研究方法の限界あるいは課題もあるため,トライアンギュレーションあるいはマルチ・メソドロジーによってそれらを克服する努力は必要である.