2017 年 25 巻 1 号 p. 51-65
本稿の目的は,組織ライフサイクル後期にあたる成熟期,再生期,衰退期の企業においてインタラクティブ・コントロール(以下IC)が果たす役割の解明である.戦略に関する不確実性と組織変革の概念を用いて仮説を設定し,調査会社を通じたWebサーベイを行ったところ,再生期と衰退期では成熟期よりIC利用度が高いという結果を得た.すなわち成熟期企業はICに頼らず既存の戦略実行を図る制度的アプローチと,再生期企業は戦略展開に繋がる機会を捉え戦略創発のためICを利用する進化的アプローチと,衰退期企業は現行の戦略を抜本的に見直すためICを利用する急進的アプローチと,それぞれ整合的であった.