2017 年 25 巻 2 号 p. 47-61
近年,自律的組織の経営システムやMMループに着目した研究が行われている.管理会計システムの進展や進化を説明する際,MMループは有用なフレームワークである.本稿では,まずMMループを説明し,次に大手小売業のI社が中国に進出した際の会計情報システムの進展をMMループで検討した.この事例を通じて,荒利益計算システムの進展が計算式の変更やシステムの運用環境の改善によってもたらされたことを示した.そして,その知見からMMループを用いて管理会計システムを分析することの意義を次のように論じた.①システム全体における各システムの相互関係を明らかにすることができること.②システム全体にとって,次にどのようなループが必要か示唆すること.③MMループを運用し続けた場合におけるシステムの進化を考察できること.その一方で,関係するループとそうではないループを適切に峻別することや組織コンテクストを特定することの難しさといった課題も指摘した.