2017 年 73 巻 2 号 p. I_522-I_527
ベトナム・ニャチャン海岸においては,近年,汀線の後退が顕在化している.しかし,侵食の機構・対策を論ずるための現地資料が乏しい.そこで,2013年5月から2016年8年までビデオカメラによるモニタリングを行い,ニャチャン海岸における海浜変形の特性に関する検討を行った.その結果,同海岸北端部においては,波浪の季節的な変動が著しく,北東モンスーン波浪が卓越する冬季に汀線が後退し,その後,汀線の回復が見られるという季節変動が支配的であることが明らかになった.そこで,経験的固有関数展開(EOF)を用いて実測汀線の展開を行ったところ,93.8%を占める第一成分がこのような季節変動に対応することが分かった.また,空間関数および時間関数の近似により,実測値の周期的な特性を良好に近似することが明らかになった.