中小企業の管理会計を向上させる有力な支援者となる可能性を会計事務所(税理士事務所)は有している.現在,会計事務所が月次決算サービスを中小企業に対して提供することが普及しているものの,多くは管理会計の立場から首肯できる内容となっていない.月次決算サービスを管理会計的に意味あるものとするには,何らかフィードバックとフィードフォワードを機能させる必要がある.そして,会計事務所の立ち位置と業務実態を踏まえると,フィードフォワード主体の経営協議を行うことが有効と考えられる.フィードフォワード主体の経営協議とは,顧問先の目指すべき財政状態を会計事務所が独自に持ち,顧問先が業績の向上に注力できるよう協議を行うことを指す.ITツールの民主化を受けて台頭しつつあるBIツールTableauを用いれば,数字を嫌う経営者にも直感に訴える形で協議を行うことができる.会計事務所が中小企業の管理会計を向上させる有力な支援者となるには,分析力を高める必要がある.