相対評価の問題点として,被評価者間で能力差が大きい場合には,被評価者の努力を引き出せないことが先行研究で指摘されてきた.本研究では,この問題点に対する解決策として,追加的なモニタリングの実施に着目する.追加的なモニタリングとは,評価者が成果指標以外の追加的な情報を収集し,その情報を評価に利用することを意味している.例えば,成果指標の結果だけではなく情意考課・能力考課といった評価者の裁量を考慮して,最終的な相対評価の結果を決定する場合などがそれにあたる.本研究では,被評価者間で能力差が大きい場合にも,追加的なモニタリングの実施により被評価者の努力を引き出せることを示している.