管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌
Online ISSN : 2434-0529
Print ISSN : 0918-7863
論文
複数の目標決定権限の配分における組織アイデンティティの役割
若林 利明
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2022 年 30 巻 1 号 p. 55-71

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抄録

本稿は,Heinle et al. (2012)のモデルを発展させ,行動目標の決定権の配分と業績評価の方法にアイデンティティが及ぼす影響をマルチタスクのLENモデルを用いて明らかにする.具体的に,2つの行動目標の決定権のうちどれを委譲しどれを委譲すべきではないのか,その条件はいかなるものかを示す.分析の結果,組織に対する自己のアイデンティティの相対的な強さに応じて目標決定の権限の一部をエイジェントに委譲することが望ましい場合とすべての権限をプリンシパルが留保することが望ましい場合があること,この条件が事業の収益性に影響を受けることなどを示した.本稿は,組織設計におけるアイデンティティの役割を理論的に示すことに貢献している.

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© 2022 日本管理会計学会
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