2024 年 32 巻 1 号 p. 87-106
本研究の目的は,資本予算が資本の効率的配分に与える影響を検証することである.従来管理会計の資本予算研究は,資本予算の効率的配分に与える影響を明らかにしていない.そこで本論文は,質問票調査とRichardson (2006)の過剰投資のフレームワークを利用し,実証的な方法によって資本予算が資本の効率的配分に与える影響を明らかにする.分析の結果,会計学的技法を利用した投資経済性評価技法は過剰投資を抑制し,投資額を適正なものにする一方,洗練された技法として管理会計の規範的な研究が推奨するDCFは過剰投資を助長させることが明らかになった.