管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌
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論文
日本における企業間関係の構築によるコスト低減戦略
鈴木 浩三
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1999 年 7 巻 1-2 号 p. 65-89

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抄録

最近の日本の製造業においては,コスト低減のための戦略的意思決定として,従来の系列や企業集団を超えた合併・買収,提携が増加している.既存の企業集団(系列・企業グループ)内の再編・統合も進行している.さらに,国際規模での合併・提携が増加しており,それらの大規模化というトレンドもみられる.

それらは,従来の日本の製造業におけるコスト低減のパラダイムに,大きな変化の潮流をもたらしている。

そこで本稿では,1997~1998年にかけて日本の製造業が関係した企業間関係の構築に係る事例研究を基礎に,次の(1)~(3)の内容を示す.また,企業間関係が成立する背後に存在する企業,業界,政府の行動様式についても触れる.それらを通じて,現在日本の製造業で進行しつつあるコスト低減に向けた戦略性の一端を描いていく.

(1)コスト低減を目的とする合併,買収,提携といった企業間関係(以下,「企業間関係」という)の構築において低減対象となるコストの種類は,その産業の属する産業のライフ・サイクル(Industrial Life Cycle:ILC)や,主力製品のプロダクト・ライフ・サイクル(Product Life Cycle:PLC)に応じたものとなる.

(2)ある産業における企業間関係の構築目的や,態様も,その産業のILCやPLCと一定の関係を持つ.

(3)日本特有の企業・業界・政府の行動パターンが,コスト低減のための企業間関係にも影響を与えている.

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© 1999 日本管理会計学会
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