抄録
本稿は,商店街の地域資源を用いた価値共創と再構の視点からアプローチする。まず,商店街の衰退はマーケティング・マネジメントの発想の脆弱さにあることを指摘し,次に商店街のマーケティング・マネジメントの枠組みを提示する。そのうえで,マーケティングの新たな動きをレビューし,ニュー・マーケティング・ロジックの商店街のマーケティング・マネジメントへの適用性について考察する。そのなかから,資源を使った価値共創と関係性の理論を導入し,商店街は顧客・利用者の固有の体験価値を共創(co-creation)することが,競争優位の源泉となるということを主張する。そして,そのために,地域資源を活用し,商店街と地域のコミュニティが協働して,社会生態系のプラットフォームとして商店街を再構(re-creation)することが鍵となることを強調する。