抄録
中小部品企業は金型製作をはじめとした高い成形・加工技術を有し,国内製造業における国際競争力の基盤とされてきた。加えて,その技術的な優位性は暗黙知といった言葉で表現されてきた。しかし,近年の市場環境の変化は,中小部品企業が保有・構築する技術の中身とそこに付帯する経営体制に変化を生じさせている。本論では技能など暗黙知と対極にある概念として,測定・解析や因果関係,再現性の確立といった「科学的知識」に着目する。そのうえで,中小部品企業が自社の経営・製造現場になぜ,どのように科学的知識を導入したか,そのプロセスを金型製作を事例として探索的に分析・解明し,仮説的分析枠組みを提示する。