2019 年 19 巻 p. 22-28
本研究では,病院建築にかかわる関係者の交流を促すしくみを策定するための予備的研究として,複数の診療科を持つ公的主体が運営する総合病院(A病院,B病院)で働く医師に意識調査を行い,医師の職場環境としての現在の病院空間の実態を明らかにするとともに建築計画に対する医師のかかわりの現状と課題を分析した。208名の回答を分析した結果,病院のさまざまな空間に改善が求められることがわかった。また,72%の医師が病院のつくりに関心を持っていたが,実際の建築計画においては9割近い医師が自身の意見は反映されていないと感じており,計画段階における意見聴取の方法に問題があると推察された。公的主体が運営する病院の建築計画では,計画にかかわる行政や建築設計者とともに,現場で働く医療従事者の意見を反映させるしくみが必要である。