2021 年 20 巻 p. 65-71
本稿の目的は,経済産業省「新・ダイバーシティ経営企業100選」に選定された大橋運輸がどのようにダイバーシティ経営を行っているかを明らかにすることである。具体的には,まず社長のダイバーシティに関する考え方や推進の仕組みについて示していく。つぎに従業員が社長の考え(経営方針)に対してどのように考えているのかを示す。方法は社長への半構造化インタビューと従業員への質問紙調査である。その結果,大橋運輸のダイバーシティ経営は,地域課題を戦略的に取り込む価値創造企業としての活動の一つであることが明らかにされ,従業員の意識からは価値創造を行っていこうとする経営方針が浸透し始めていることが示された。