抄録
公共図書館の経営をNPO等第三者に委譲するという問題が盛んに論議されている。その一方で, ビジネスライブラリーの機能を図書館活動に位置づけ, それを地域の経済社会の活性化に結びつけ, その可能性に期待する向きがある。60年代以降, 市民の図書館の貸出を中核とする活動を全国の公共図書館が実施し, それは特に高度経済成長を支えた市民層によって受け入れられていった。社会が成熟段階に達した現在, 公共図書館の貸出戦略の行き詰まりから, その活動を支援の視点から見直す。それと共に, 真に図書館の情報を必要とする社会層を見識ある市民と位置づけ, その人々へのコミュニケーションによる情報提供, すなわちレファレンスサービスが公共圏の形成であることを提案する。