近年音楽教育とジェンダーに関する研究が主に欧米において蓄積されつつあるが,日本においては僅かといわざるを得ない。本研究では,音楽の指導者が,子どもの性別により音楽表現や学習態度に異なる期待を抱いているかどうか,また男女で適した指導法は異なると考えているかどうかを検討することを目的とした。私立女子大学音楽学部卒業生 946 名に質問紙を配布し,回答のあったピアノ指導の経験がある 346 名を分析の対象とした。その結果,女子はまじめに練習をする,男子は分析的に考えた演奏をするなど,一部子どもの性別によって異なる期待が抱かれている傾向が示唆された。また,約 44%の指導者は,男女それぞれに適した指導法があると回答し,女子には細かく指導するが男子には細かく言わず,楽しむことを重視する,などの具体例を得た。指導法と,性別により異なる期待には様々な点で関連がうかがえた。今後,指導者の認識だけでなく,実際の指導内容など,多側面からの検討が必要と思われる。