音楽表現学
Online ISSN : 2435-1067
Print ISSN : 1348-9038
《フィガロの結婚》のカリカチュアとしての《ドン・ジョヴァンニ》
オペラのスコアに織り込まれたモーツァルトの機知
後藤 丹
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 4 巻 p. 57-66

詳細
抄録

 オペラ《フィガロの結婚》のプラハ上演成功をきっかけとして、モーツァルト は《ドン・ジョヴァンニ》を作曲した。 双方のオペラの登場人物たちが歌う何曲かには、音楽的に非常に類似する部分が認められる。分析の結果、伯爵夫人とドンナ・ エルヴィーラ、フィガロとマゼット、スザンナとツェルリーナの3つの組合わせにおいて、その傾向が顕著であることが判明した。 それぞれの二人は性格や行動様式は異なるものの、劇の役割上は非常に近い状況に置かれている。モーツァルトは《ドン・ジョ ヴァンニ》の登場人物の何人かを《フィガロの結婚》の登場人物のカリカチュアとして描こうとしたのではないか。それは《フィ ガロの結婚》を歓迎してくれたプラハ市民への作曲家からの機知に富んだ挨拶ではなかったか。

著者関連情報
© 2005 日本音楽表現学会
前の記事 次の記事
feedback
Top