1989 年 12 巻 4 号 p. 129-137
コンピュータ・テスティングにおける回答所要時間分布の性質を明らかにするために,個別に収集された同一項目に対する各学習者の回答所要時間データを等価的に集団学習応答曲線として表示し,さらにガンマ分布をあてはめることで統計的,数量的な分析を試みた.その結果,従来ワイブル分布が用いられることが多かった回答所要時間分布がパラメータ数が少なく,より解釈の明確なガンマ分布によって十分記述できることが分かった.さらに,このガンマ分布モデルを用い,テスト項目分析に関して回答所要時問データを用いる方法 について提案した.また,テスト回答所要時間分布の予測とその利用などを試み,予測曲線によりテストの制限時間内の未終了率を推測してアイテムバンクよりのテスト構成を支援する方法を開発した.