本研究では, 平成11年度に京都大学および慶應義塾大学との間で行われた合同ゼミにおけるインターネットの役割を明らかにするものである.具体的には, 「自己探索」をテーマとした京都大学側の授業をすべて参与観察し, 学生のホームページへの投稿内容の分析および授業後の学生への半構造的インタビューを行った.インターネットと授業との関わり, およびインターネットの果たした役割を整理した結果, インターネットは, 学生の「日常性」と「授業における学び」をつなぐ可能性があること, しかし, 単にネットをつないだだけでは, 大学間で議論が深まるまでには至らず, 「授業」あるいは「HP」でどのように「共通性」を意識させていくかが重要であることが示唆された.