本研究は,「ものづくりの体験的な学習」の生活場面での有効性を,中学生がどのように捉えているかを追求した.中学生208名に対して質問紙による調査を実施した.その結果,中学生は,「ものづくりの体験的な学習」の生活場面での有効性を,自分で工夫したり一生懸命に作業したりすることが生活に役立つという「適切な行動の習得の有効性」,工具の使用法や材料の特徴などを理解することが生活に役立つという「新しい経験,発見,疑問の解消の有効性」の2つの因子により捉えていることが推察された.そして,中学生が「適切な行動の習得の有効性」を比較的強く捉えていること,「適切な行動の習得の有効性」を強く捉えている中学生ほど,「ものづくりの体験的な学習」に対する意欲も高いことが示唆された.これらのことから,「ものづくりの体験的な学習」を授業で展開する場合,教師は,自分で工夫し一生懸命に作業する内容を中心とした指導計画を設定する必要性が示された.