スーパーマーケットがフランスに登場して60年以上が経過した。この業界では,セルフサービスの導入や駐車場完備,店舗面積の拡大,顧客カードの導入などによって集客をはかり,ハイパーマーケットの出店も拡大してきた。これらの過程は経済成長とも足並みをそろえ,他方では小規模小売店を閉店に追い込みながら急速に広がっていった。大規模食品小売業は,プライベートブランド開発に力を入れ,他社の吸収・合併,他国への進出と撤退,競合他社や異業種との戦略的提携と解消などを繰り返しながら,低価格をめぐる熾烈な競争のなかにある。国内では新しい業態―〈drive〉(フランス型のclick and collect),小規模スーパーなど―を生み出し,新規顧客の獲得を目指している。フランスの食品小売業の市場は大手企業の寡占状態にあり,売上高,従業員数,販売面積等では大手が他の業態を圧倒している。だが,現在ではECやハードディスカウンターの成長,消費者の購買力の低下が大規模食品小売業にとっての新たな脅威となっている。