Journal of Mammalian Ova Research
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マウス卵巣における卵母細胞の核の退行の組織学的解析と閉鎖卵胞内の卵母細胞の核の退行における卵胞刺激ホルモンの役割
中井 徹宮本 庸平中山 泰亮眞鍋 昇佐藤 英明
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1996 年 13 巻 1 号 p. 24-29

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抄録

卵母細胞の核の退行を類型化するとともに,4,5,6ないし7型の発育段階にある卵胞の卵母細胞の核の退行に及ぼす卵胞刺激ホルモン(FSH)の影響について,卵巣の連続組織切片を用いて組織学的に解析した.4~7型のいずれの卵胞においても退行過程にある核をもつ卵母細胞が観察されたが,核の退行の特徴と卵胞や卵母細胞の発達との間に相関が認められた.4~5型(卵胞腔形成前)の52.2%,6~7型(卵胞腔形成後)の39.2%に核の退行がみられた.4~5型では核濃縮や核消失がほとんどであったが,6~7型では約80%の卵母細胞が疑似的な減数分裂の再開始像を示した.疑似的な減数分裂再開始を誘起した卵母細胞の直径は51 μm以上であった.FSHの投与により,6~7型の卵胞の数が増えたが,4~5型は増えなかった.しかし,退行卵母細胞をもつ卵胞の数は6~7型,4~5型ともに減少した.卵胞周囲にマクロファージが観察されたが,閉鎖卵胞周囲では数も増え,クラスターを形成した.しかし,退行卵母細胞を含む卵胞内へのマクロファージの侵入は観察されなかった.これらの結果は,(1)卵母細胞の退行の型は卵胞や卵母細胞の発育段階によって異なること,(2)FSHは卵母細胞の退行を促進すること,(3)退行卵母細胞の除去の過程にマクロファージが関与することを示唆している.

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© 1996 日本卵子学会
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