Journal of Mammalian Ova Research
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13 巻, 1 号
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Review
Original
  • 辻井 弘忠
    1996 年 13 巻 1 号 p. 8-11
    発行日: 1996年
    公開日: 2007/02/19
    ジャーナル フリー
    ラットにおける着床前および着床遅延時の胚盤胞を用いて,メチオニンの取り込みに及ぼすProstaglandin E2,F2α,Indomethacinの影響を液体シンチレーションを用いて測定した.着床前の卵子のメチオニンの取り込みは,桑実胚,初期胚盤胞,胚盤胞,後期胚盤胞の順に高まった.着床遅延胚盤胞におけるメチオニンの取り込みは,着床前の胚盤胞の取り込みより低かったが,統計的な有意差は見られなかった.Prostaglandin E2およびF2αの添加によって,着床前の胚盤胞ならびに着床遅延胚盤胞のメチオニンの取り込みは有意に高まった(P<0.05).しかし,Indomethacin添加によって着床前の胚盤胞ならびに着床遅延胚盤胞のメチオニンの取り込みは抑制された(P<0.05).
  • :第一極体放出に及ぼす卵胞液とエストラジオール-17β又は子牛血清との相乗効果
    康 承律, 辻井 弘忠
    1996 年 13 巻 1 号 p. 12-18
    発行日: 1996年
    公開日: 2007/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は,ブタ卵母細胞の減数分裂再開および第一極体放出に及ぼす性腺刺激ホルモン,エストラジオール-17β(E2),子ウシ血清,卵胞液の影響について検討を行った.これら5つの因子を単独又は組合わせてmTALP-PVA培地に加え,卵丘-卵子複合体及び裸化卵子を24,32,46時間培養した.対照区に比べて,いずれのPMSG濃度区で卵丘付着卵子の減数分裂が有意に促進された(p<0.05).これら卵子をhCG(15 IU/ml),FBS(15%),E2(10 μg/ml)添加の培地で32時間培養した結果,対照区(p<0.05)及び24時間培養(p<0.05)卵子に比べて,減数分裂再開の割合が有意に高かった.卵丘付着卵子と裸化卵子を46時間成熟培養を行った結果,PMSG,hCG,E2は卵丘付着卵子の第一極体放出を有意に高めた(p<0.05).その反面,裸化卵子には効果が見られなかった.E2又はFBSを単独で添加した区に比べて,これらに卵胞液を加えた区で卵丘付着卵子の第一極体放出が有意に高まった(p<0.05).以上の結果において,PMSG,hCG,E2は卵丘細胞を介して卵母細胞の減数分裂再開及び第一極体放出に好影響を示した.反面,FBSと卵胞液は裸化卵子の核成熟を促進した.卵丘付着卵子の第一極体放出に関して,卵胞液はFBSあるいはE2との相乗効果が見られた.
  • 李 殷松, 鄭 然吉, 荒木 真, 福井 豊
    1996 年 13 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 1996年
    公開日: 2007/02/19
    ジャーナル フリー
    ウシ血清アルブミンを含む合成卵管培養液(SOFM)に添加したヒトまたはマウス白血病抑制因子(leukemia inhibitory factor; LIF)が単一または集団培養したウシ桑実胚の体外発育に及ぼす影響およびLIFの最適添加用量について検討した.ウシ未成熟卵子を体外成熟,30時間体外受精後2~4細胞期へ分割した受精卵を体外培養し,受精後124時間目に桑実胚を回収した.桑実胚は0(対照区),500,1,000,2,000,4,000または6,000 U/mlのヒトまたはマウスLIFを添加したSOFMを用い,単一(1個/30 μl microdrop)または集団(4~5個/30 μl microdrop)培養した.その結果,集団培養は単一培養に比べ孵化胚盤胞への発生率が有意に(p<0.01)増加した.ヒトおよびマウスLIFは単一培養した桑実胚の孵化胚盤胞への発生率を有意に増加させたが(p<0.05),集団培養では有意な発育効果がみられなかった.マウスLIFでは1,000 U/mlが最も高い拡張および孵化胚盤胞への発生率を示したが(p<0.05),ヒトLIFでは500~6,000 U/mlの添加用量による発生率には有意差がみられなかった.以上の結果より,受精卵の集団培養は単一培養に比べ胚発育に効果的であり,SOFMに添加したヒトまたはマウスLIFは単一培養したウシ桑実胚の孵化胚盤胞への発育を改善することが示唆された.
  • 中井 徹, 宮本 庸平, 中山 泰亮, 眞鍋 昇, 佐藤 英明
    1996 年 13 巻 1 号 p. 24-29
    発行日: 1996年
    公開日: 2007/02/19
    ジャーナル フリー
    卵母細胞の核の退行を類型化するとともに,4,5,6ないし7型の発育段階にある卵胞の卵母細胞の核の退行に及ぼす卵胞刺激ホルモン(FSH)の影響について,卵巣の連続組織切片を用いて組織学的に解析した.4~7型のいずれの卵胞においても退行過程にある核をもつ卵母細胞が観察されたが,核の退行の特徴と卵胞や卵母細胞の発達との間に相関が認められた.4~5型(卵胞腔形成前)の52.2%,6~7型(卵胞腔形成後)の39.2%に核の退行がみられた.4~5型では核濃縮や核消失がほとんどであったが,6~7型では約80%の卵母細胞が疑似的な減数分裂の再開始像を示した.疑似的な減数分裂再開始を誘起した卵母細胞の直径は51 μm以上であった.FSHの投与により,6~7型の卵胞の数が増えたが,4~5型は増えなかった.しかし,退行卵母細胞をもつ卵胞の数は6~7型,4~5型ともに減少した.卵胞周囲にマクロファージが観察されたが,閉鎖卵胞周囲では数も増え,クラスターを形成した.しかし,退行卵母細胞を含む卵胞内へのマクロファージの侵入は観察されなかった.これらの結果は,(1)卵母細胞の退行の型は卵胞や卵母細胞の発育段階によって異なること,(2)FSHは卵母細胞の退行を促進すること,(3)退行卵母細胞の除去の過程にマクロファージが関与することを示唆している.
  • -Partial Zona Dissection法,Zona Drilling法およびZona Thinning法の比較検討-
    矢沢 浩之, 星 和彦, 柳田 薫, 鈴木 和夫, 佐藤 章
    1996 年 13 巻 1 号 p. 30-38
    発行日: 1996年
    公開日: 2007/02/19
    ジャーナル フリー
    以下に示す6種類の人工介助孵化操作(assisted hatching:AHA)をマウスの初期胚に施行し,ハッチングに与える効果を検討した.(1) piercingness;透明帯を極細いneedle(直径8 μm)で穿刺する.(2) partial zona dissection-small(PZD-small);顕微授精法のpartial zona dissection(PZD)法と同様の方法を行い,透明帯に円周の1/8程度の切開を加える.(3) partial zona dissection-large(PZD-large);上記partial zona dissectionの切開をさらに大きく延長し,円周の1/4程度の切開にする.(4) zona drilling(ZD);pH 2.5のacid Tyrodeユs solutionを透明帯に吹き付け透明帯を溶解して穴を開ける.(5) zona thinning-partial(ZT-partial);zona drilling法と同様の方法で透明帯外側の一部(直径約30 μmの円形)を約1/2の厚さに菲薄化する.(6) zona thinning-total(ZT-total);acid Tyrode's solution溶液(pH 2.5)に胚を約3秒間浸すことにより透明帯外側全体を約1/2に菲薄化する.これらのAHAを4細胞期胚に行ったところ,(3)~(6)にハッチング促進効果を認めたが(1),(2)は無効であった.同様の効果は,8細胞期胚および凍結融解胚でも確認された.PZDで透明帯開口部の孔が小さいときは,脱出途中で胚が厚い透明帯に捕捉されてハッチングが停止してしまい,孔が大きすぎるときは通常より相当早くハッチングが開始していた.以上の成績からAHAとしてはzona thinning法((5),(6))が最も効果的と推測された.
  • 新村 末雄, 神宮 美香
    1996 年 13 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 1996年
    公開日: 2007/02/19
    ジャーナル フリー
    ハムスターの卵子と初期胚について,ライソソームの分布変化をアクリジンオレンジ染色法を用いて観察した.アクリジンオレンジ陽性ライソソームは,原始卵胞の卵子では細胞質全域に少数分布していたが,小型二次卵胞から排卵前3時間の胞状卵胞までの卵子では,細胞質全域に多数分布していた.なお,排卵前12および10時間の胞状卵胞内卵子では,ライソソームが細胞質全域に分布しているもののほかに,核周囲に分布しているものが半数程度みられた.未受精期の卵子からコンパクションを起こしていない8細胞期までの胚では,ライソソームは細胞質全域に多数分布していた.一方,コンパクションを起こした8細胞胚および胚盤胞において,ライソソームは,球形割球あるいは内細胞塊細胞では細胞質全域に多数分布していたが,扁平割球あるいは栄養膜細胞では少なく,主として核周囲に分布していた.8細胞胚と胚盤胞における結果から,ライソソームの分布変化と割球の分化とは密接な関係のあることが示唆された.
  • 吉澤 緑, 張 偉, 村松 晉
    1996 年 13 巻 1 号 p. 44-47
    発行日: 1996年
    公開日: 2007/02/19
    ジャーナル フリー
    体外受精により得られたマウス桑実胚と胚盤胞の染色体標本を作製し,種々の方法によってG-バンド染色を試みた。胚の染色体に合致するよう修正した尿素法によって,優れたG-バンド像が得られた。この標本作製法とG-バンド法を紹介する。
Brief Note
  • 板垣 佳明, 木村 直子, 山中 昌哉, 宗田 吉広, 須藤 鎮世
    1996 年 13 巻 1 号 p. 48-51
    発行日: 1996年
    公開日: 2007/02/19
    ジャーナル フリー
    性判別をした胚からの双仔作出を目的として,牛胚の胚操作と性判別のための方法を体外作出胚とPCRを用いて検討した.高品質の拡張胚盤胞をバイオプシーによって栄養外胚葉の約10%を採取した後,さらに均等に2分割した.これらのバイオプシーミ2分割胚の胚操作後48時間の生存性と構成細胞数を2分割のみの胚と比較した.生存率においてバイオプシーミ2分割胚(80.7%)と2分割のみの胚(87.0%)との間に差はなかった.バイオプシーミ2分割胚の平均構成細胞数(70.00±18.84)は2分割のみの胚(77.50±20.82)よりもやや低かったが有意な差ではなかった.採取したサンプルと片方のバイオプシーミ2分割胚の性はPCRによって決定した.生存した48個のバイオプシーミ2分割胚の性とサンプルによる性は一致し(96.0%),雄27,雌21であった.
原著
  • 佐藤 秀俊, 高田 直和, 及川 俊徳, 沼辺 孝, 木船 厚恭, 吉村 格
    1996 年 13 巻 1 号 p. 52-57
    発行日: 1996年
    公開日: 2007/02/19
    ジャーナル フリー
    単純組成培地(HECM)によるウシ体外受精由来胚の体外培養条件について検討した。HECMおよびTCM199培地を用い,卵丘細胞との共培養,または非共培養をした場合,前者での培養が後者でのそれよりも胚盤胞への発生率が高かった。また,共培養系でない場合,HECMのほうがTCM199より胚盤胞形成率が高かった。HECMを培養液とし,それに子ウシ血清と成長因子を添加すると胚盤胞の形成率を高め,胚盤胞の総細胞数を増加させた。以上の結果から,単純合成培地でウシ胚を発生させることが可能であり,さらに血清,成長因子の添加は発生率の向上に有効であった。
  • 天野 朋和, 堀内 俊孝, 山田 學, 織部 智宏
    1996 年 13 巻 1 号 p. 58-62
    発行日: 1996年
    公開日: 2007/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では,毛色の異なる2種類のシリアンハムスター(ゴールデン系とアルビノ系)から採取した8細胞期胚の割球集合によりキメラハムスターの作出を試みた.8細胞期胚の回収液としては,HEPES-HECM-3培養液を用い,胚培養液としてはHECM-3培養液を用いた.フィトヘマアグルチニンを用いて付着させた凝集胚は37.5℃,10%O2-10%CO2-80%N2の気相条件下で20時間培養した.凝集胚354個のうち,87個(25%)が桑実胚に,234個(66%)が胚盤胞胚に発生した.これらの胚の一部を3匹のレシピエント(Day 3)の子宮に移植したところ2匹が妊娠し,分娩した.移植胚の胎仔への発生率は,妊娠ハムスターあたりでは11%(7/64)となった.この7匹の産仔のうち毛色がキメラを示したもの(アグーチ)は6匹であった(雄5匹と雌1匹).これら全てのキメラハムスターは雌雄とも正常な外部生殖器の形態を示した.
  • 森 優美子, 松本 浩道, 菅原 七郎
    1996 年 13 巻 1 号 p. 63-67
    発行日: 1996年
    公開日: 2007/02/19
    ジャーナル フリー
    ウシの未成熟卵子から胚盤胞までそれぞれ1個または3個ずつの着床前胚をキャピラリーチューブに吸引し,SDS+2-メルカプトエタノール溶液と混合してチューブ内の胚を融解させた.それらの胚はファーストシステム(ファルマシア社製)を用いた電気泳動-銀染色法により蛋白パターンを出現させ,デンシトメーター(シマズ社製)を用いて解析し,以下の結果を得た.この方法で検出された分画は,1レーンにつき17~32本であった.未成熟卵子でみられた59~62 KDの分画は発生が進むにつれて少しずつ高分子側にずれ,胚盤胞期では70~76 KDに変異する事が示唆された.また,84~91 KDの分画はほぼ全ての発生時期の胚で,101~108 KDの分画は成熟期以後の胚で認められた.これらの分画と卵子以外の体細胞や血清・卵胞液成分などの分画と共通していたものは顆粒層細胞でみられた100~103 KD,卵胞液,ウシ胎子血清でみられた63~65 KDの分画であった.
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