Journal of Mammalian Ova Research
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ブタ透明帯タンパクpZP1と特異的に結合する精子リガンドについて
長谷川 昭子内藤 子来井上 みゆき山崎 則行香山 浩二
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1997 年 14 巻 1 号 p. 49-55

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抄録

ブタ透明帯構成成分pZP1は,マウス透明帯において第2精子レセプターとして作用することが報告されているmZP2と高いアミノ酸配列相同性を持つ.本研究ではpZP1(1~198)を遺伝子組換体(r-pZP1)として大腸菌に発現させ,r-pZP1が直接精子に結合するか否かを調べた.ブタ精子を卵丘細胞とともに2時間培養すると,r-pZP1は卵丘に進入したブタ精子の先体部に結合した.しかし,培養液単独で培養したブタ精子には結合しなかった.卵丘成分との接触により先体部に何らかの変化を受けた精子のみがr-pZP1との結合能をもつに至ったものと考えられる.一方,ブタ卵との共培養により透明帯に接着したブタ精子は,後帽部から尾部にかけての領域でr-pZP1と反応した.これらの結果は,先体反応誘起過程でr-pZP1と結合する精子リガンドの局在が変化することを示唆している.一方,Ca++イオノフォア処理で先体反応誘起したヒト精子を用いた実験でも,ブタ精子の場合と同様に,反応時間の推移と共にr-pZP1の反応部位が,赤道部から中片部,尾部へと変化した.また,ブタ精巣上体精子抽出成分のwestern blottingにより,r-pZP1と反応するタンパク分子はMr55K,Mr40K,Mr25Kの3種であることがわかった.

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© 1997 日本卵子学会
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