抄録
胚盤胞形成過程にあるマウス,ラット,ウサギおよびウシの胚について,ライソソーム様小体(LB)の分布変化をアクリジンオレンジ(AO)染色で調べた.割球が変形を起こしていないマウスの8および16細胞胚,ウサギの32細胞胚およびウシの16細胞胚では,AO陽性LBは,すべての球形割球の細胞質全域に分布していたが,ラットの8細胞胚では,核上部の細胞質表層に分布していた.一方,これらの動物の桑実胚において,この小体は,内側の球形割球では細胞質全域に分布していたが,外側の扁平割球(マウス)および立方形の割球(ウサギとウシ)では核周囲に,ラットの扁平割球では核上部の細胞質表層に分布していた.この小体は,すべての動物の胚盤胞の内細胞塊細胞では細胞質全域に,栄養膜細胞では核周囲に分布していた.マウス胚において,このようなLBの分布変化はin vitroで発生した胚でも同様にみられた.以上の結果から,マウス,ウサギおよびウシの胚では,LBの分布変化と割球の変形および分化とは密接な関係があることが推察された.