Journal of Mammalian Ova Research
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流動パラフィン中にて低温で保存した精巣上体尾部から採取したマウス精子の受精能
寺社下 浩一上田 乙也鈴木 宏志
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1997 年 14 巻 1 号 p. 45-48

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抄録

精子保存の簡便な方法は,その保存可能時間がたとえ短くても遺伝子資源の輸送には有効に利用できる.短時間の精子保存のための効果的な方法を確立するために,流動パラフィン中4℃にて保存した精巣上体尾部より採取したマウス精子の受精能の検討をした.流動パラフィン中にて24時間保存したICRとC57BL/6Jマウスの精巣上体尾部より採取した精子の受精率は,それぞれ89%と69%であった.また,これらの受精卵子のほとんどは,精子添加後96時間に胚盤胞に発生した.受精率は保存時間の延長とともに低下し,96時間保存したものにおいてはICRで13%およびC57BL/6Jでは1%と低率であった.4℃にて保存した精巣上体尾部より採取したHとFノックアウトマウスの精子を用いた体外受精卵を移植した結果,それぞれ,50%および41%が産仔にまで発生した.これらの結果から,精巣上体尾部の流動パラフィン中での低温保存は,マウスにおいても精子の輸送に簡便であり効果的な方法であることが示唆された.

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© 1997 日本卵子学会
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