マウス卵管上皮細胞における分泌活動を微細構造から明らかにした.卵管膨大部おいて,発情前期・発情期・発情後期に粘液様物質が分泌細胞の管腔側の細胞質中に集積した.発情期および発情後期には,様々な大きさをもつ分泌顆粒が観察された.分泌顆粒と細胞膜の吻合である,開口分泌は発情後期に観察された.一方,発情休止期には分泌細胞は退行した.卵管膨大部からの分泌物により,受精および初期胚発生に適した環境がつくられていると考えられる.峡部において,発情後期に大きく拡張した粗面小胞体が観察された.分泌顆粒は発情前期と発情期の分泌細胞でみられた.それらは主に発情前期に開口分泌により管腔内に放出される.峡部卵管上皮から分泌される物質は精子の受精能獲得に寄与していると考えられた.本研究より,マウスにおいて卵管膨大部と峡部の分泌細胞は性周期依存性の因子により異なって制御されていることが示唆された.
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