Journal of Mammalian Ova Research
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マウス卵受精時の雌性染色体分離に対するProtein kinase Cの役割
稲垣 昇鈴木 秋悦中戸川 則江北井 啓勝久慈 直昭吉村 泰典
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1997 年 14 巻 2 号 p. 157-168

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抄録

マウス卵の体外受精およびCa ionophore(A23187)やTPAによる人工的卵活性化法における第2極体放出・前核形成・蛋白質リン酸化に対して,PKCの活性化剤(TPA,diC8)や阻害剤(staurosporine,H7)およびカルシウムキレート剤(BAPTA-AM)の影響を検討し,卵活性化におけるPKCの役割に関して以下の知見を得た.PKCの活性化は前核形成を時間的に促進することが確認された.第2極体放出がPKC活性化剤によって抑制され,かつ細胞外Ca2+を除去した状態でTPAによって卵を活性化した場合には第2極体放出,polar body-like structureの形成およびactin filamentの凝集が抑制されることから,Ca2+が第2極体放出を促進するのに対して,PKCは細胞質分離という観点から第2極体の放出を抑制していると考えられた.しかし,PKCの阻害剤が雌性染色体の分離を抑制すること,およびTPAによって卵を活性化した場合,細胞内Ca2+の上昇に非依存的に雌性染色体分離が引き起こされることが確認されたことにより,雌性染色体の分離そのものはPKCの活性化によって引き起こされていることが強く示唆された.

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© 1997 日本卵子学会
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