抄録
本実験では,ウシの体外受精において使用される凍結融解精子の生理機能に対する漢方薬の生理作用について検討した.効果の有無は,初期胚の発育程度から推定した.まず,体外受精(媒精)の際に,培養液(m-Hepes-BO)にBSAを添加しない場合には,漢方薬の効果が証明された.しかし,媒精液にBSAを同時に添加すると,さらに顕著な有効作用が認められた.とくに,今回使用した漢方薬の中で,温桂湯(TJ106)が最も有効であった.この薬は凍結融解精子の活力ならびに生存性に対して効果的であることが証明された.