ブタ卵巣中の直径0.5~0.7 mmの初期胞状卵胞から,卵母細胞-卵丘細胞-壁顆粒膜細胞複合体(OCG複合体)を採取し,コラーゲンゲルに包埋して8日間培養した.培養液にFSH,dbcAMP,estradiol-17β(E2)あるいはEGFを添加し,OCG複合体の卵胞腔形成に対する直接作用を検討した.培養1日後,OCG複合体は一旦閉じた構造を形成した.その後,FSHあるいはdbcAMP添加区では,胞状卵胞様の構造が形成された.一方,E2あるいはEGF添加区では,対照区と同様に胞状卵胞様の構造は形成されなかった.FSHあるいはdbcAMP添加区において形成された胞状卵胞様構造の内部には,卵巣内の胞状卵胞の卵胞腔液と同様なタンパク質が蓄積されていた.以上の結果から,FSHはブタの顆粒膜細胞を刺激し,cAMPを介して卵胞腔形成を誘起すること,また,EGFはブタの卵胞腔形成に対して単独では作用しないことが示唆された.
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