Journal of Mammalian Ova Research
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体内成熟過程におけるハムスター卵母細胞の表面微細構造の変化
鈴木 裕之藤原 琢磨Yang Xiangzhong
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1997 年 14 巻 2 号 p. 191-197

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抄録

ハムスター卵母細胞-卵丘細胞複合体を得るために,卵核胞期(GV)または第一成熟分裂中期(MI)のものは胞状卵胞を切開し,第二成熟分裂中期(MII)のものは卵管を灌流して回収した。各ステージにおける卵母細胞ならびにそれを取り囲む細胞群の表面微細構造を走査型電子顕微鏡(走査電顕)を用いて観察した。卵母細胞の直径についても走査電顕観察時に測定した。卵丘細胞はGV期の卵母細胞で緊密に配列した構造を示した。それらはMI期とMII期に細胞間の空隙が拡大し,著しく膨化していた。透明帯はメッシュ様の構造を示し,MII期にはメッシュ穴の大きさと数が増加した。GV期の卵細胞膜には微絨毛が比較的疎らに配列していたが,成熟後は微絨毛の分布密度が増大した。卵母細胞の直径は成熟過程において82 μmから77 μmへと有意に減少した(P<0.01)。以上のように,ハムスター卵母細胞の成熟過程には,卵丘細胞の膨化,透明帯のメッシュ穴の増加,ならびに卵細胞膜の微絨毛の発達が含まれることが明らかとなった。

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© 1997 日本卵子学会
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