1998 年 15 巻 1 号 p. 27-30
ウシの体外受精培地(BO液)におけるカフェイン添加(2.5 mM)が,4種雄個体由来の凍結・融解精子の運動性と,それらの精子を用いてIVFする場合の胚発生に及ぼす影響について検討した.6時間の培養の間,0.5時間毎に精子の運動性を観察した結果,カフェイン添加した区では,いずれの個体においても運動性の増加は認められなかった.一方,媒精後3日目に2から16細胞期に達する胚の割合は,カフェインを添加する場合,1個体のものが他の3個体のものに比べて有意に低い値を示した(P<0.05).また,この値は同一個体でカフェインを添加しなかった区に対しても,有意に低いものであった(P<0.05).以上の結果から,受精培地(BO液)へのカフェイン添加は,凍結・融解したウシ精子の運動性を刺激しないものと考えられた.また,カフェインは体外における精子の受精能獲得誘起には必ずしも必要ではないものと思われた.
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