体外成熟したウシ未受精卵子を種々の耐凍剤を用いて超低温保存し,融解後,体外受精に供し,その受精能および第一分割期における染色体異常の出現率を調べた.融解後に形態的に正常な卵子の割合は,0.8 M PROH+0.8 M DMSO区において56.0%であり,他の区より有意に高かった(P<0.05).体外受精48時間後,2細胞期以上へ分割した胚の割合は,0.8 M PROH+0.8 M DMSO区と1.6 M PROH+0.2 M sucrose区においては他の区と比べ有意に高い(P<0.05)という結果であった.第一分割期の染色体標本を分析した結果,すべての凍結区において多倍体の高い出現率が得られたが,対照区と比べ有意な差は見られなかった.また,超低温保存後融解した卵子において構造的異常を示す染色体の出現率も増加しなかった.以上の結果から,0.8 M PROHと0.8 M DMSOを混合した耐凍剤は,体外成熟したウシ未受精卵子の超低温保存において有効であると考えられる.
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