Journal of Mammalian Ova Research
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体内成熟ならびに体外成熟中のウシ卵母細胞の表面微細構造と大きさの変化
鈴木 裕之Presicce Giorgio A.Yang Xiangzhong
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1998 年 15 巻 1 号 p. 49-62

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抄録
体内ならびに体外成熟中のウシ卵丘細胞-卵母細胞複合体の表面微細構造を走査型電子顕微鏡により比較した.また,卵母細胞の直径の変化についても検討した.体内成熟卵は過剰排卵処理した雌ウシからhCG投与後0,12,24時間後に,超音波ガイド法により2 mm以上のすべての卵胞から回収した(それぞれ85,38,39個).体外成熟卵は屠場卵巣から回収された卵母細胞を0,12,24時間体外培養して得た(それぞれ188,138,228個).未成熟卵は緊密に配列した顆粒層細胞に囲まれていた.体外培養24時間後に,体内成熟卵に比べ(44%),より多くの体外成熟卵(100%)が顆粒層細胞の膨化を示した.しかし,体内成熟卵の顆粒層細胞の膨化の程度は体外成熟卵のそれに比べ顕著であった.透明帯は成熟のステージや成熟方法に関わらず繊維性のメッシュ構造を示した.未成熟卵の細胞膜には,大型の舌状突起の分布が見られ,これらは成熟に伴い徐々に微絨毛の分布パターンに変化した.成熟12時間後では,体内成熟卵に比べ(11%),より多くの体外成熟卵(100%)の細胞表面が舌状突起の分布パターンから微絨毛の分布パターンへ変化していた(p<0.05).卵母細胞の直径は成熟培養中に徐々に減少した.すなわち,0,12ならびに24時間後で,それぞれ127±1,122±1,116±1 μmであった.一方,体内成熟卵ではそれぞれ121±2,129±2,101±1 μmであった.以上の結果から,hCG投与後の体内卵子成熟は体外培養による体外成熟に比べ緩やかに進行する傾向がうかがわれた.しかし,成熟開始24時間後では,体外成熟卵に比べ体内成熟卵において,より顕著で完全な顆粒層細胞の膨化と卵母細胞の直径の劇的な変化が観察された.
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© 1998 日本卵子学会
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