1998 年 15 巻 1 号 p. 68-76
ブタ卵丘細胞卵子複合体(COCs)を24時間基本培地で培養した後,一部のCOCsの卵丘細胞を除去し(裸化卵子,DOs),これらのCOCsとDOsをPI 3-kinaseの特異的阻害剤(ワルトマニン,LY294002)を添加した培地でさらに24時間培養した.COCsとDOsのいずれにおいても,10-8,10-7Mのワルトマニン,及び5.0×10-5M LY294002がM I卵率を有意に上昇させ,M II卵率を有意に減少させた.しかし,DOsのM II卵率におけるPI 3-kinase阻害剤添加区と無添加区(対照区)間の差は,COCsにおける差に比べて著しく小さかった.また,卵丘細胞の膨潤はPI 3-kinase阻害剤により有意に抑制された.これらのことから,卵丘細胞内のPI 3-kinase活性が,M I以降への減数分裂の進行を制御していること及び卵丘細胞の膨潤を促進させていることが推定された.
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