1998 年 15 巻 3 号 p. 139-145
種々の時間成熟培養した豚卵子の表層顆粒(CG)分布を,FITC-PNAにより表層顆粒をラベルした後共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した.成熟培養中の卵子の表層顆粒の分布パターンは,蛍光が卵細胞質中に観察された卵子(タイプ1),卵細胞膜直下にのみ認められた卵子(タイプ2)および蛍光が観察されなかった卵子(タイプ3)に分類した.成熟培養時間の延長によりタイプ1卵子の割合は減少し,逆にタイプ2卵子の割合は増加した.体外受精後,細胞膜周辺に少数の蛍光塊が認められる卵子(タイプ4)が観察された.培養24,30および36時間後に体外受精を行ったところ,受精率はこれらの3区で有意差はなかったが,卵子の体外成熟培養時間の延長に従って単精子受精率は増加した.また,タイプ4卵子の割合も24時間培養卵子に比べて30時間以上培養した卵子で高く,表層顆粒の開口分泌がより完全な卵子では多精子受精拒否が行われていたと考えられた.
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