Journal of Mammalian Ova Research
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総説
染色体異常による習慣流産と着床前診断(PGD)
小澤 伸晃
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2006 年 23 巻 4 号 p. 150-157

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抄録

均衡型の染色体構造異常保因者では表現型には異常を来たさないものの,不妊症や不育症,不均衡の染色体構造異常児の出産など様々な生殖異常の原因となる可能性がある.そのためIVFの着床不良症例や習慣流産患者では,一般集団に比べて高率に相互転座やロバートソン転座などの染色体異常が検出されている.減数分裂の過程で生じた不均衡型の染色体構造異常の配偶子により生殖異常が引き起こされるが,転座する染色体や切断点の部位により異常配偶子が生成される確率や自然淘汰を受ける時期は異なっており,各々の症例で生殖異常に対するリスク判定と治療手段を決定しなければならない.近年,異常保因者に対する治療法として着床前診断(PGD)が導入され,選択的に正常(均衡型)胚を移植することが行われている.自然妊娠での経過との比較など議論の必要性はあるが,症例によっては妊娠成績の向上に役立つことは確かであり,今後異常保因者に対する管理指針が充実していくことが期待できる.

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© 2006 日本卵子学会
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