抄録
この研究の目的は,経膣超音波検査と血清estradiol(E2)測定による卵胞評価が自然周期人工授精(IUI)の妊娠率を改善するかどうかを検討することである.135症例311周期に対して,自然周期予定排卵日2日前に超音波検査を施行し,卵胞径が17-18 mmを越えている時は2日後に,15 mm前後の時は3日後にIUIを施行した(A群).一方,131症例308周期に対しては,自然周期月経3日目に超音波検査と血清E 2測定を行いbaseline ovarian cystを除外し,卵胞径が18 mmかつ血清E2が300 pg/mlを越えた時,その2日後にIUIを行った.さらにIUI翌日に超音波検査で排卵を確認した(B群).その結果,A群,B群の対周期妊娠率は5.1%,10.4%でB群で有意に高い妊娠率を認めた(P=0.05).この結果,経膣超音波検査と血清E2測定による卵胞評価はIUIの妊娠率を改善することが示唆された.