中国では、1980年代以前には、計画経済を実施してきたが、1980年代以降は、改革開放政策の波に押され、企業の民営化のほか、外国資本の参入を取り入れるようになり、市場化が進んだ。しかし経済の転換期に当たる中国の市場においては、政府からの規制及び計画経済時代から見られた政府の影響力が未だ残存しており、さらに、地域によっては、その影響力の強さは以前と比べて弱まっておらず、依然として強い場合もある。
そのため、中国でビジネス活動を行う外資企業は、事業を上手く推進できるように、政府関係者(特に官僚)と良い関係を構築し、法令に限らず、様々な面で自社に有利な点を獲得するため、欧米流の従来からの市場戦略のほか、それとは全く異なった非市場戦略を実行するようになった。
そのほか、中国の市場は、その人口の数から見れば規模が大きく、企業、特に外資企業にとって非常に重要であるものの、世界各国の市場と比べて、中国市場における民族主義及び高度な政治化の状況は特殊であり、そのため、それに適応するため、企業が非市場戦略を実行する必要があるのか、非市場戦略から何が得られるのかについて論じる。