2022 年 22 巻 1 号 p. 03-09
Patient Specific Functional Scale(PSFS)は機能障害に関する患者報告アウトカム尺度の一つで,反応性に優れており,様々な運動器障害に適応できる。PSFSでは対象となる活動や障害前の状態を想起することが難しい場合が多いため,回答者が回答しやすいように改善したPSFS 2.0が近年開発された。本研究の目的は,PSFS 2.0の日本語への異文化適応とした。国際的な質問紙票の異文化適応ガイドラインに則り,順翻訳,順翻訳統合版作成,逆翻訳,仮日本語版作成,パイロットテストの5段階を経て行った。パイロットテストでは,運動器疾患のある30名から,各文章に対して日本語として意味が伝わるかについて5段階数値評価スケール(1:日本語として全く意味が分からない,5:日本語として十分伝わる)で評価し,コメントを得た。コメントのあった項目もスコア4以上の者が8割以上であった。得られたコメントを元に,全翻訳者と筆者の計6名で議論し,最終的な日本語版PSFS 2.0が作成された。