2022 年 22 巻 2 号 p. 73-77
本予備研究の目的はFunctional Movement Screening system (FMS)における自動下肢伸展挙上(ASLR)のスコア1とスコア3の者の間には体幹表層伸展筋群の筋活動様式の違いがあるのかを検証するために必要なサンプルサイズを算出することとした。対象は,腰痛下肢痛は無いがFMS-ASLRスコア1(機能不全有り)の者18名とスコア3(機能不全なし)の者9名を対象とした。右ASLR時における,右大腿直筋の筋活動onsetに対する左右胸最長筋,左右腰腸肋筋,左右多裂筋の筋活動遅延の差を算出し,効果量(Hedges’ g)とα=0.05,β=0.2における必要サンプルサイズを算出した。結果,スコア1の者はスコア3の者に比べて右大腿直筋に対する左右胸最長筋,左右腰腸肋筋,左右多裂筋の筋活動遅延が小さく,その効果量は全評価項目の中で最大値の1.32となり,必要なサンプルサイズはFMS-ASLRスコア1(機能不全有り)の者14名とスコア3(機能不全なし)の者14名と算出され,本実験においては少なくとも合計で28名の被験者が必要であることが分かった。