徒手理学療法
Online ISSN : 2434-4087
Print ISSN : 1346-9223
22 巻, 2 号
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巻頭言
研究論文
  • 長島 英祐, 高﨑 博司
    2022 年 22 巻 2 号 p. 67-72
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/09
    ジャーナル フリー

    患者が治療に対しどの程度同意しているかの患者とセラピストとの間の治療同盟を問うTherapeutic Alliance in Physiotherapy Questionnaire-Patients(CAF-P)は,治療効果や満足度と大きな関連がある。そこで本研究では,国際的な質問紙票の異文化適応ガイドライン(順翻訳,順翻訳統合版作成,逆翻訳,仮日本語版作成,パイロットテストの5段階)に準拠して14項目からなるCAF-Pの日本語版を作成した。運動器疾患の治療を受ける日本語を第一言語とする30名を対象としたパイロットテストでは,5段階数値評価スケール(1:日本語として全く意味が分からない,5:日本語として十分伝わる)で日本語として意味が伝わるかを評価し,スコアが1-3の場合はコメントを得た。スコア3の回答が420(30人×14質問)回答中3件であり,コメントをもとにより分かりやすい日本語に修正して最終的な日本語版CAP-Fとなった。日本語版CAF-Pは,今後の研究や臨床のセラピストのチェックリストとしての利用が期待できる。

  • ―pilot study―
    藤島 大希, 吉川 和希, 金野 賢, 鈴木 克也, 高﨑 博司
    2022 年 22 巻 2 号 p. 73-77
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/09
    ジャーナル フリー

    本予備研究の目的はFunctional Movement Screening system (FMS)における自動下肢伸展挙上(ASLR)のスコア1とスコア3の者の間には体幹表層伸展筋群の筋活動様式の違いがあるのかを検証するために必要なサンプルサイズを算出することとした。対象は,腰痛下肢痛は無いがFMS-ASLRスコア1(機能不全有り)の者18名とスコア3(機能不全なし)の者9名を対象とした。右ASLR時における,右大腿直筋の筋活動onsetに対する左右胸最長筋,左右腰腸肋筋,左右多裂筋の筋活動遅延の差を算出し,効果量(Hedges’ g)とα=0.05,β=0.2における必要サンプルサイズを算出した。結果,スコア1の者はスコア3の者に比べて右大腿直筋に対する左右胸最長筋,左右腰腸肋筋,左右多裂筋の筋活動遅延が小さく,その効果量は全評価項目の中で最大値の1.32となり,必要なサンプルサイズはFMS-ASLRスコア1(機能不全有り)の者14名とスコア3(機能不全なし)の者14名と算出され,本実験においては少なくとも合計で28名の被験者が必要であることが分かった。

  • 山﨑 千聖, 高﨑 博司
    2022 年 22 巻 2 号 p. 79-85
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/09
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,ホームエクササイズを実施する自信の程度を問うSelf-Efficacy for Home Exercise Programs Scale(SEHEPS)の日本語化とした。方法としては、国際的な質問紙票の異文化適応ガイドラインに則り,5段階の過程(順翻訳,順翻訳統合版作成,逆翻訳,仮日本語版作成,パイロットテスト)を経た。5段階目のパイロットテストの過程では,運動器疾患がありホームエクササイズが処方されている者30名より,仮日本語版のSEHEPSについて「1:日本語として全く意味が分からない,5:日本語として十分伝わる」の5段階評価スケールを用いて理解度の評価を行い,1-3のスコアの場合は自由記載にて問題箇所のコメントを得た。結果として,対象者は男性16名女性14名,平均年齢±標準偏差は52.6±17.1歳であった。スコア4以上を選択した者の割合は66.7%から100%であり,スコア1を選択したものは1人もいなかった。パイロットテストでのコメントをもとに順翻訳者と逆翻訳者を合わせた計5名で協議して最終的な日本語版SEHEPSを作成した。

症例研究
  • 中村 拓海, 山田 郁朗, 来間 弘展
    2022 年 22 巻 2 号 p. 87-95
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/09
    ジャーナル フリー

    〔目的〕胸腰椎圧迫骨折後,遅発性脊髄障害を呈した症例に対し,手術後に徒手療法,スタビライゼーションエクササイズおよびバランス訓練を行い,自宅退院に至った症例について報告することを目的とした。〔症例紹介〕症例は脊髄症,胸腰椎圧迫骨折,脊柱管狭窄症の診断を受けた男性である。主訴は両下肢の脱力,腰背部・両下肢の痛み,両下肢の痺れであった。手術は脊椎固定術,除圧術を行い,術後6日目より理学療法を開始した。〔クリニカルリーズニング〕筋力,神経伸張テスト,痛みの評価からL1-S2領域の筋の運動麻痺および神経症状と判断した。〔結果〕両下肢の痺れと腰背部痛は軽減し,杖歩行が可能となり自宅へと退院した。〔結論〕本症例に対して行った治療プログラムは両下肢の麻痺や痛みによって神経症状が出現し,体動困難になった症例に対する術後の理学療法の一つとして提案できる可能性がある。

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紹介
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