2023 年 23 巻 1 号 p. 19-25
近年における慢性痛に対する飛躍的な科学の進歩により,局所の問題にフォーカスしたアプローチまたは職種ごとの断片的なアプローチでは大きな治療効果を上げられないことが分かった。特にnociplastic pain(中枢性疼痛)やbiopsychosocial model(生物心理社会モデル)における最新知識により,慢性痛の原因は,局所から脳,また,生物学的要因から,心理的要因,社会文化的要因までと実に多因子的で複雑に絡み合っていることが分かってきた。本稿ではこれらに対応したinterdisciplinary pain management(学際的疼痛管理)とその重要なチームの一角を担う理学療法士に求められている役割と最先端のアプローチについて紹介する。