MACRO REVIEW
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研究ノート
風水害リスク評価の事業環境
角田 晋也西村 一
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2020 年 32 巻 2 号 p. 49-60

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抄録

 風水害リスク評価の事業環境につき建設・BCPコンサルタントや損害保険会社などの民間事業者にヒアリング調査を行い、産業規模と潜在顧客を推定した。公的資金に依存せずとも採算が取れるための必要条件は、受益者を課金対象として特定できることである。公共事業の下請けの場合と公的資金に依存しない場合のいずれにおいても、全球温暖化シミュレーションデータを水平2km以下の高解像度にまで力学的ダウンスケーリング(DS)できる専門的な企業がデータ流通のエコシステムに不可欠である。(1) 当面は国の防災基準や損害保険料率などを設定するための日本全域でのDSに大量の計算資源が必要となる。その計算は大学または公的研究機関の支援の下、気象・乱流シミュレーションを専門とする企業(DS専門企業)にアウトソーシングする。その際に、大学または公的研究機関の知的財産権をDS専門企業に独占利用させない。(2) OPenDAPサーバによる超大容量データの取り扱いには限定されたDS専門企業とのパートナー契約が必要である。

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© 2020 日本マクロエンジニアリング学会
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