2026 年 38 巻 1 号 p. 16-19
本研究ノートは、持続可能な多文化共生社会の実現に向け、社会価値を「保持すべきコア(核)」と「変容を容認すべき形式」に分離し、それらを戦略的に設計・言語化する枠組みを提案する。マクロエンジニアリングの視点から、縄文時代以来の衛生概念を日本の不変の境界条件とし、弥生時代の渡来人受け入れをシステムの動的安定に向けた成功モデルとして分析する。本稿の核心は、参入側(移民)に求められる「適応資質」の多層的定義にある。高度専門人材によるシステムアップデート機能と、単純労働者によるシステム稼働維持機能を対比し、各層に求められる資質が社会全体の摩擦低減にどう寄与するかを詳述する。また、古代と現代における移動動機が「生存確率の最大化」という点で本質的に共通であることを明らかにし、在独日本人コミュニティ(約4.2万人)の適応事例を通じて、ハイコンテクスト文化の文脈察知能力の有用性を実証する。結論として、国家による「非交渉のコア」の言語化責任と、参入側の「資質」の適切なマッチングが、多様性を社会の活力へと転換するための戦略的必然であることを提言する。